虐待児と障害児

 

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映画やCDのタイトルは邦題になるとダサくなる。

ディープパープルの紫の肖像や、ミニミニ大作戦、そしてフォレストガンプ一期一会がその例だ。

原題は"Forrest Gump"なのに、なぜ副題の一期一会を付け加えたのか。見る気が失せるほどダサい。

 

この映画はトムハンクス演じるフォレストガンプが、バス停での待ち時間に知らない人たちに自分のこれまでを語っていくストーリーだ。

フォレストは知的障害があり、それゆえの素直で優しく真面目な性格から、様々な成功を導いていく。

劇中で彼は走りが早く運動神経抜群であるが、多くの知的障害者は協調性運動障害を併発するため、運動オンチであることがザラである。

つまりフォレストは知的障害を持ちながらも、それゆえの愛される性格と、運動障害の併発がないことによる活発さが生み出した、奇跡中の奇跡の逸材なのである。そりゃあ成功者にならない方がおかしい。

 

彼の物語は常に成功者の道を辿るが、彼は満足することなく行動し続ける。

それは、幼い頃に出会ったジェニーを振り向かせるためである。

しかし、このジェニーは幼い頃に父親から(明言されてはいないが多分)性的虐待を受けており、だんだんと非行に走るようになる。

最近「父親から虐待を受けた経験のある女性は、恋愛において相手に父親を求める傾向にあり、そのために事がうまく運ばない」という話をよく耳にするが、ジェニーはその典型のような女性である。

フォレストはジェニーを愛するが、ジェニーの思う父親像は暴力的なもので、優しいフォレストは当てはまらない。なんとも非情なものである。

 

このジェニー、非行に走るようになってからはあまり登場しなくなるが、フォレストが何か成功すると必ず登場するようになる。

彼が大金持ちになったときに現れ、プロポーズを有耶無耶にしつつ子供をこさえた瞬間去っていき、彼が有名になると「テレビで見た」などと言って急に現れ、子供の認知を迫り、プロポーズを無下にしたことを悪びれもせず「結婚しましょう」などと言ったりする。

昔住んでいた街であり、フォレストが現在住んでいる街であるアラバマに、父の匂いを感じ怯える描写もあり、それが急に出ていった理由とも言えるだろうが、それにしたって虫が良すぎる。

ここまでくると偶然ではなく、フォレストの愛情を利用しているようにしか見えない。

しかし、純粋なフォレストはジェニーと結婚し、実は余命僅かだったジェニーを看取り、息子を大事に育てている。

 

フォレストはジェニーの父親像にそぐわず、しかし他の誰もジェニーの父親にはなれなかった。

フォレストの愛情は父親以上のものだったが、しかしジェニーは気に入らなかった。

ただそれだけの切ない物語だった。